今日も定刻通りにやってきた鉄のカタマリは金属の擦れる音を立てて僕の前に止まる。また惰性の日常の舞台へ他人の仕事によって距離を縮めるのだ。

 

僕の定位置はボックス席の通路側、進行方向には背を向けている。いつから決まったのかも分からないがいつの間にか定位置と化している。

 

はじめはなれなかったこの揺れも何年もすれば慣れるもので、この微弱な揺れなど今ではゆりかごの如き心地良ささえ醸し出す。

 

もう見知った顔を乗せて鉄のカタマリは目的地へと進む。